バスキュラーアクセスとは
バスキュラーアクセスとは、血液透析療法を行う際の患者側のルート、つまり人体から血液を取り出したり戻したりする部位を指します。
以前は透析のためのルートを“シャント(短絡)”と言っていましたが、近年ではそのルートとしてシャントだけではなく動脈表在化、カテーテルなどのシャントではない方法も用いられるようになったため、シャントを含めて“バスキュラーアクセス”という言い方で統一されるようになりました。しかし依然としてバスキュラーアクセスの97%はシャントであるため、一般的にはシャントと呼ぶことが多くなっています。
血液透析治療はバスキュラーアクセスを介して血液を一度体外に取り出し、半透膜を介して血液中の老廃物や余分な水分を除去したのち、再び体内に戻します。
血管透析では1分間に150〜250mLの血液を体外に循環させることが必要です。人の体には静脈と動脈がありますが、静脈は1分間に50mL程度の血液しか流れておらず透析治療を行うために必要な血流を確保することができません。
一方、動脈は十分な血流を取ることができますが、皮膚表面から深く走行することから針を刺すことが難しく、止血困難な状態や神経損傷など合併症のリスクが高くなります。
そこでこれらを解決するために静脈と動脈を吻合し動脈の血液を静脈に流れる血液量を多くするバスキュラーアクセス(シャント)の作成が大切になります。