当院では血管内治療専門医の資格が必要なステントグラフト、薬剤コーティングバルーンなどの新しいデバイス(道具)を用いて経皮的血管形成術を行っています
2023年02月02日
PTAに与えられた課題
シャントPTA治療にも課題となる問題があります。
一度狭窄をしてしまった血管はシャントPTA治療を実施しても再度狭窄してしまう可能性が高くなってしまうこと、血管の石灰化が強い場合には拡張をしきれず、血流の改善効果があまり得られないこと、拡張を行ってもすぐにもとに戻ってしまうこと(リコイル)、拡張時に血管が損傷してしまうことなど、シャントPTA治療においても治療困難な症例があります。
ステントグラフト内挿術という新しい選択肢(バイアバーンの登場)
本院では、2019年に人工血管内シャント吻合部狭窄治療において新たに承認を得たステントグラフト内挿術の実施が可能です。
ステントグラフト内挿術は、人工血管内シャントの静脈側吻合部における狭窄又は閉塞の治療に用いることのできる日本初のステントグラフト治療であり、従来のシャントPTA治療に新たな選択肢として加わりました。
従来のシャントPTA治療において、課題として考えられていた治療困難な症例に対して、人工血管ステントグラフト(バイアバーンステントグラフト)を留置することで、血管内の再狭窄やリコイルを予防し、開存日数の維持が困難とされていた症例に対して良好な治療効果を期待することが可能となりました。
薬剤コーティングバルーンへの期待(DCBの登場)
当院では2020年にシャント治療領域での薬事承認を取得した薬剤コーティングバルーン(DCB)を用いた治療も実施しております。薬剤コーティングバルーンはその名の通り血管内再狭窄を抑制する為の薬剤が添付された治療用バルーンとなっており、血管内の拡張と同時に血管壁に薬剤を浸透させることで従来のシャントPTA治療と薬による病変の再発抑制効果を期待することができます。